2006 年 59 巻 4 号 p. 181-185
大腸癌におけるリンパ節転移個数の予後規定因子としての有用性を検討した.1981年から2000年までに経験した大腸癌症例のデータベースよりstage IIIa,IIIbを抽出した.生存率の比較はKaplan-Meier法とLog-rank testを用い,多変量解析はCox regression modelを適用した.stage IIIa126例,stage IIIb78例,計204例が解析の対象となった.リンパ節転移個数は,深達度がse(a2)以深で有意に多数であり(P=0.0003),大腸癌取扱い規約におけるリンパ節転移分類(n因子)がn1,n2,n3になるに従って有意に多くなった(P<0.0001).生存率の比較では,5年生存率は深達度(P=0.011),リンパ節転移個数(P=0.012)で有意差が認められたが,n因子では有意の差が認められなかった.多変量解析ではリンパ節転移個数のみが選択され(P=0.038),リンパ節転移個数が4個以上では遠隔成績が不良であった.リンパ節転移症例の予後はn因子に依存せず,リンパ節転移個数が予後を規定する因子であった.