2006 年 59 巻 4 号 p. 186-191
平成15年4月から16年3月までの期間に側方と前方のIILSに対して,針型電気メスを使用して温存術(電気メス温存法)を行った48例を対象とし,以下の結果を得た.1.再発は4例(8.3%)で,従来の温存術(89例)では7例(7.9%)であった.従来の方法による温存術が少ない傾向にあったが,両群間で有意差はなかった.2)次に手術の簡易性の基準として手術時間で電気メス温存法と従来の温存術を比較した.従来の温存術の手術時間は16~31分で平均21分であった.しかし電気メス温存法では原発口の確認後は同部の焼却のみで原発口の処理が終了するために原発口の処理に要する手術時間が大幅に短縮し,しかも症例間の差も認めず,手術時間は7~12分平均10分で従来の方法に対して有意に短かった(p<0.05).3)熱による影響を調べるために治癒期間で従来の方法と比較すると,従来の方法では25~45日で,平均治癒日数は35日であった.一方電気メス使用による方法は27~46日で平均治癒日数は37日で,両群間で有意差は認めなかった.