日本冠疾患学会雑誌
Online ISSN : 2187-1949
Print ISSN : 1341-7703
ISSN-L : 1341-7703
原著
冠動脈バイパス術における周術期脳梗塞の発症とその予防についての検討
瀬在 明中田 金一飯田 充吉武 勇和久井 真司大幸 俊司木村 玄高橋 佳奈石井 雄介八百板 寛子有本 宗仁畑 博明塩野 元美高山 忠輝平山 篤志
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 20 巻 2 号 p. 91-97

詳細
抄録

冠動脈バイパス術後の脳梗塞は重篤な合併症である.当施設での脳梗塞発生とその要因を報告する.人工心肺下単独冠動脈バイパス術761例を対象とし,術前,術中,術後因子と脳梗塞の発生を検討した.術後脳梗塞を1.4%に認めた.脳梗塞発生の危険因子は,頸動脈狭窄,人工心肺時間 >180分,術後心房細動の発生,β遮断薬非使用(術前あるいは術中あるいは術後使用)であった.術後心房細動の危険因子は,75歳以上,慢性腎臓病,緊急手術,人工心肺時間 >180分,術中カルペリチド非使用,術中塩酸ランジオロール非使用,術前ARB非使用,術前カルシウム拮抗薬使用,術前スタチン使用,術後β遮断薬非使用,術後アルドステロンブロッカー非使用であった.本研究から心房細動発生例に脳梗塞が多く,術後心房細動には術中,術後の薬剤が強く関与しており,周術期の適切な薬剤治療が心房細動を予防し,脳梗塞を予防できると考えられた.

著者関連情報
© 2014 日本冠疾患学会
次の記事
feedback
Top