2017 年 23 巻 3 号 p. 156-160
症例は56歳男性.既往に狭心症があり,8年前に心拍動下冠動脈バイパス術 (LITA-#12, RITA-#8, GEA-#4PD) を施行した.その後の経過観察中に,CT検査にて右冠動脈#3に冠動脈瘤を指摘された.瘤径の拡大傾向を認めたため,破裂予防目的に手術となった.手術は再胸骨正中切開にて慎重に剥離後,体外循環を確立し,心停止下に行った.右冠動脈は#3に35 mm大と15 mm大の2つの冠動脈瘤を認めた.瘤を切開すると,内腔は血栓で満たされており,一塊にしてそれぞれを切除した.冠動脈瘤への流入動脈と流出動脈は,約1 cmの距離があり,完全に分離していた.右冠動脈中枢側は#2で結紮閉鎖した.末梢側は左大伏在静脈を採取し,#3断端に直接端々吻合してACバイパスを行った.術後,経胸壁心臓超音波検査では心機能の悪化を認めず,術後17日目に退院となった.病理組織診断で,冠動脈瘤は動脈硬化性の組織であった.