日本冠疾患学会雑誌
Online ISSN : 2187-1949
Print ISSN : 1341-7703
ISSN-L : 1341-7703
症例報告
冠動脈バイパス術後に発生した右冠動脈瘤に対して瘤切除と冠動脈バイパス術を行った1例
宮下 史寛細川 洋平平松 範彦松林 景二
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 23 巻 3 号 p. 156-160

詳細
抄録

症例は56歳男性.既往に狭心症があり,8年前に心拍動下冠動脈バイパス術 (LITA-#12, RITA-#8, GEA-#4PD) を施行した.その後の経過観察中に,CT検査にて右冠動脈#3に冠動脈瘤を指摘された.瘤径の拡大傾向を認めたため,破裂予防目的に手術となった.手術は再胸骨正中切開にて慎重に剥離後,体外循環を確立し,心停止下に行った.右冠動脈は#3に35 mm大と15 mm大の2つの冠動脈瘤を認めた.瘤を切開すると,内腔は血栓で満たされており,一塊にしてそれぞれを切除した.冠動脈瘤への流入動脈と流出動脈は,約1 cmの距離があり,完全に分離していた.右冠動脈中枢側は#2で結紮閉鎖した.末梢側は左大伏在静脈を採取し,#3断端に直接端々吻合してACバイパスを行った.術後,経胸壁心臓超音波検査では心機能の悪化を認めず,術後17日目に退院となった.病理組織診断で,冠動脈瘤は動脈硬化性の組織であった.

著者関連情報
© 2017 日本冠疾患学会
前の記事 次の記事
feedback
Top