材料と環境
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解説特集
大気腐食と高強度鋼の遅れ破壊
秋山 英二
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2011 年 60 巻 4 号 p. 184-189

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抄録
水素チャージした高強度鋼の環状切欠き丸棒試験片の切欠き引張強度(NTS)をSSRTにより測定し,NTSと水素濃度の関係がべき乗則で示されることを見いだした.大気腐食した試験片の定荷重試験による遅れ破壊発生は,遅れ破壊発生限界拡散性水素濃度(HC)と環境からの侵入水素濃度(HE)のバランスと対応することから,実際の高力ボルトでもHEHCを上回った場合に遅れ破壊が起きていると考えられる.大気腐食後のSSRTによって,大気腐食による水素侵入を考慮した高強度鋼の遅れ破壊特性を評価することができた.水素トラップを含む超高強度鋼は比較的高いHCを示すが,水素トラップはHEも増加させるため,その耐遅れ破壊特性の改善に及ぼす効果は見られなかった.サイクル腐食試験中の水素侵入を電気化学的水素透過試験によりモニターしたところ,水素侵入の経時変化に増加傾向が見られた.これはさび内層のpHや電位の変化によるものと考えられる.遅れ破壊の「遅れ」の原因は水素侵入効率の上昇に要する時間にあることが示唆された.
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© 2011 公益社団法人 腐食防食学会
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