Zairyo-to-Kankyo
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腐食抑制を示す腐食生成物の光学測定
大塚 俊明
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2014 年 63 巻 11 号 p. 542-548

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抄録

不働態皮膜も含む腐食生成物は物理バリアーとして働くので,下地金属の腐食を抑制する.それらの腐食生成物の詳細な測定が腐食防食分野では重要である.ここでは,不働態皮膜に関して光学手法を使ったin-situ測定法を解説した.偏光反射解析法と偏光反射率測定とを組み合わせた3パラメータ法から,不働態皮膜の厚さと光学性質を定量的に決めることができる.ラマン散乱分光で散乱光集光系の改良から不働態薄膜の組成をin-situ条件で決めることができる.電位変調反射(PMR)は,複素キャパシタンスと似た周波数応答,電位応答を示す.鉄不働態皮膜のPMRの波長依存性から同酸化物皮膜の吸収端の推定が可能であり,およそ2.5 eVの吸収端エネルギーが求められる.紫外光励起ルミネッセンスからバンド間のギャップエネルギーが推定できる.例えば,チタンのアノード酸化物のギャップエネルギーは3.1 eVと求められた.

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© 2014 公益社団法人 腐食防食学会
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