球状黒鉛鋳鉄の腐食速度に及ぼす黒鉛と基地の境界長(BL)の影響を解明するために,pH 2の硫酸水溶液中における腐食試験を行った.晶出した黒鉛の存在は,周囲の鉄基地との境界における腐食に影響を及ぼすと考え,単位面積あたりの黒鉛と基地の接触長さをBLと定義した.腐食電位,腐食速度およびSEMによる表面観察により,耐食性を評価した.黒鉛の周囲では,黒鉛がカソード,基地がアノードとなり,基地が優先的に溶解し,黒鉛が剥離することがわかった.しかし,BLの腐食速度に及ぼす影響はほとんど見られなかった.これは黒鉛のカソードとして作用する影響が小さいためと考えられる.