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解説特集
生体用マグネシウム合金の腐食挙動
廣本 祥子
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2014 年 63 巻 6 号 p. 371-377

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抄録

近年,マグネシウム(Mg)合金は,既存の生分解性高分子や生体吸収性セラミックスよりも強度・靭性に優れたbiodegradable/bioabsorbable金属材料として注目されている.しかし,生体用Mg合金の特に整形外科用デバイスへの実用化では,合金の腐食の進行が速すぎることが課題となっている.腐食速度の抑制を目指して,生体用Mg合金や表面処理が検討されている.一方,Mg合金のin vitro試験で得られた腐食速度がin vivoでの腐食速度と大きく異なることから,in vitroでMg合金の腐食速度を適切に評価できる試験方法の開発が望まれている.このためには,生体環境下でのMg合金の腐食挙動の解析が重要である.筆者らは,Mg合金の腐食に及ぼす特徴的な生体内腐食因子の影響を検討し,またMg合金の腐食速度制御のためのリン酸カルシウム被覆の開発を行った.本稿では,様々な生体内腐食因子の影響についてまとめると共に,開発したリン酸カルシウム被覆Mg合金の腐食挙動について簡単に述べる.

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© 2014 公益社団法人 腐食防食学会
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