2016 年 65 巻 5 号 p. 197-201
Ni-Ti超弾性合金の水素放出挙動に及ぼす水素吸収条件の影響について調査した.陰極水素チャージ時の電流密度の増大に伴い,低温 (~200 ℃) における放出水素量は増加した.この低温における放出水素量の増加は,水素化物の形成量の増加に起因していると考えられた.また,陰極水素チャージ時の電流密度の増大に伴い,試料表層の硬さは上昇した.これは,試料表層に形成された水素化物に起因していると推察された.したがって,陰極水素チャージ時の電流密度,つまり単位時間の発生水素量の増加に伴い,試料表層の水素濃度が高くなり,水素化物の形成が促進されたと考えられた.