2016 年 65 巻 9 号 p. 365-368
CCSのCO2分離・回収過程で,アルカノールアミン(アミン)類の高濃度水溶液が使用される.そこで,基本的化学構造に相違のある第一アミンのDGAと第三アミンのMDEAを対象に,CO2を飽和した際の腐食性について検討した.低濃度では両アミンの腐食性に相違は認められるのに対し,DGAでは濃度の増加とともに腐食性が上昇した.MDEAはCO2を重炭酸イオンとして吸収し,一方,高濃度DGAは主としてカルバミン酸イオンとして吸収する.そのカルバミン酸イオンが強いキレート作用を有することにより,高い腐食性が発現するとの結論を得た.金属イオンと5員環のキレート化合物を生成し得ない第一アミン類の腐食性は高くないことを確認した.