電子装置を設置した環境の腐食性を診断するために,その場測定が可能な目視型腐食センサを開発した.本センサでは,金属とその腐食生成物の色調の違いに注目し,腐食により経時的に変化する変色領域の長さを測定する.変色領域の長さは,腐食性ガスの拡散および金属の腐食反応を考慮した腐食解析により,従来の金属試験片の腐食厚さに換算できる.さらに取得した腐食厚さから対象環境の腐食性を診断できる.ここでは,電子装置の腐食障害の主要因である硫化腐食を診断することを目的に,銀腐食センサを試作した.銀腐食センサの精度は,実環境を想定した混合ガス腐食試験により検証した.試作腐食センサで取得した銀腐食厚さは,従来の銀板試験片の腐食厚さと誤差20%で良い相関を示した.本試作センサは,電源が不要のため,どこでも容易にかつ安全に使用できる.さらに機器分析を必要とせず,その場で環境の腐食性を見える化できる.