2024 年 73 巻 8 号 p. 200-209
建築や土木分野で用いられる土壌中の腐食速度は,年間0.02 mmとしており,土壌に依らず一律の値を用いている.しかし,土壌は粒度や含水率,化学組成,pHなどが異なり,これにより腐食速度は異なると考えられる.本研究では,土壌中の溶存酸素拡散速度が土壌腐食に与える影響を調査することを目的に,各土壌,各含水率における溶存酸素の拡散係数の測定と各溶存酸素濃度における交流インピーダンス測定による電荷移動抵抗の推定を行った.
土壌中の酸素拡散経路は,主に土壌中に分散した大気であることが示唆された.また,土壌中の酸素拡散係数は,土壌に依らず気相率と相関していることがわかった.したがって,接液面積を考慮しなければ,気相率が大きく,水分量が少なくなるにつれて,土壌中への酸素の供給速度が速くなり,土壌中の腐食速度が速くなることがわかった.