2005 年 28 巻 1 号 p. 41-50
小集団の話し合い活動を,アイコンタクトと話者交代(Turn-Taking)の視点から分析した。その結果,話し手の視線が話者交代に大きな影響を与えており,視線が注がれない児童は発話も少なくなっていることが明らかになった。これを受けて,小集団内のすべてのメンバーを聞き手として意識するよう促したところ,発話の少なかった児童もアイコンタクトが得られるようになり,徐々に発話やバックチャンネル行為が増えていった。これは,発話行為を規定する要因を個の内面のみに求めるのではなく,話し合い活動を相互作用の場と捉えてコミュニケーション指導を行う必要があることを示唆している。