抄録
総合的な学習の時間が創設された理由からもわかるように,問題解決能力の育成が教育の重要な課題となっている。しかし,問題解決能力の育成に関しては,情報収集能力に代表されるような「学び方」の側面に比べて,「考え方」の育成方法の開発が立ち遅れているように思える。本研究においては,ピアジェによって提唱された各種の推論形式が,考え方の土台となるものであると捉え,推論形式を身に付けさせるためのコンピュータプログラムを開発することにした。プログラムの作成に当たっては,英国で進行中のCASEプロジェクトの授業方法論を参考にした。「分類」と「条件統制」の推論形式をトレーニングするプログラムを開発し,「分類」については小学校第3学年,「条件統制」については第4学年の児童に対する有効性を検証した。