抄録
本論文では,アメリカにおける先進的な事例としてコロンビア大学の体育教員養成プログラム,とりわけ「指導法に関する科目」に該当する部分について焦点を当て,その特徴を導出することが目的である。さらに,それを日本のプログラムと比較することで得られた示唆によって,わが国の体育教員養成のプログラムを構築していく参考になることが期待される。その結果,以下の5点の特徴が明らかになった。(1)「反省的実践家(reflective practitioner)」としての教師の育成を目指したカリキュラムである。(2)シラバスの内容が帰納的である。その一方で,日本の場合は演鐸的である。(3)シラバスがトップダウン的な配列で構成されている。(4)カリキュラムやプログラム立案などを中心として,教師として新たなものを開発できる能力の育成を目指している。(5)到達目標の設定から具体的な評価まで詳しく明確に記載されている。