抄録
経済協力開発機構(OECD)が2000(平成12)年より3年ごとに実施している国際学習到達度調査(PISA)での好成績との関連で,フィンランドの学校教育が注目されるようになって既にかなりの年数が経過している。ただ,英語教育はPISA の対象から外れている関係で,さほどの注目は集めていないが,実はフィンランドは英語教育においても多大な成果をあげている。本稿では,フィンランドの英語教育の成功を支えている大きな要因のひとつと考えられる英語教科書に着目し,フィンランドの学校教育の要であるautonomy(自律性)の育成という観点からその特徴を明らかにするとともに,その分析結果に基づき,我が国の学校英語教育改革の方向性を提示する。