2017 年 40 巻 1 号 p. 59-68
本研究では,自己決定理論から動機づけを捉え「理科学習の意義の認識」が「動機づけ」にどのような影響を与えているかを明らかにすることを目的とした。そのためにまず,学習者が認識している「理科学習の意義の認識」と「自己決定理論における動機づけ」を測定するための質問紙を検討,作成した。次に,中学生を対象にこれらの質問紙による調査を実施し,調査結果を基に理科学習の意義の認識が動機づけにどのような影響を与えているかについて共分散構造分析により明らかにした。その結果,理科学習を通して,学習者自身が,「理科学習の意義の認識」を「科学的能力」が身に付くと捉えると,「内発的調整」,「同一化・成長」の動機づけに正の影響を与え,「外的調整」には負の影響を与えていることが明かになった。また,「理科学習の意義の認識」を「科学と身近な自然や日常生活の理解」と捉えると,「内発的調整」,「同一化・成長」,「同一化・将来」の動機づけに正の影響を与えていることが明かになった。