2017 年 19 巻 1 号 p. 41-49
サンゴ礁は近年急速に衰退しており,その大きな原因の一つが高水温による白化現象である。気候モデルによる予測によって,サンゴ礁の将来は気候変動シナリオによって大きく異なり,サンゴ礁の保全には温室効果ガスの排出削減が必要であることが示された。温室効果ガスの排出を削減するとともに,現在起こっているサンゴ礁の衰退に対処し保全を行うことが必要である。サンゴ礁保全に関して国際・国内において様々な取組がなされており,日本では,2016年に起こった大規模白化現象を受けて「サンゴの大規模白化現象に関する緊急宣言」が取りまとめられた。今後,気候変動対策との連携を深め,温室効果ガスの排出削減とともに,気候変動の影響の適応策を立案し実施することが必要とされている。