日本サンゴ礁学会誌
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原著論文
サンゴ礁海域における海洋保護区 (MPA) の多様性と多面的機能
鹿熊 信一郎
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8 巻 (2006) 2 号 p. 91-108

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抄録

フィジー、サモア、フィリピン、インドネシア、モーリシャス、および沖縄の5地区のサンゴ礁海域MPAを事例に、主に水産資源管理を目的としたMPAの多様性、それ以外の目的を有す多面的機能を整理するとともに、効果的なMPAの設定方法、適正なMPAの面積を決める方法を考察した。その結果、MPAが熱帯亜熱帯における強力な資源管理ツールであることを確認した。MPAの形態は多様で、完全禁漁か多目的利用か、政府主体か村落主体か、永久設定か期間限定か、対象魚種を限定するかどうかによって性格は大きく異なることがわかった。また、面積は様々であり、機能も生態系保全やエコツーリズムの場として利用することを主目的とするものもあった。
生物多様性のためにはMPAは大きくあるべきだが、漁業者には大きいMPAは操業区域の縮小を意味する。また、エコツーリズムによる利用も、漁撈文化・食文化と対立する可能性がある。このバランスをとるには、MPA内の生物がMPA外へ拡散するスピルオーバー効果を定量的に調査すると同時に、地域住民の参加を得てMPAの位置・面積などを決定し、順応的にMPAを改善していくべきだろう。

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© 2007 日本サンゴ礁学会
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