日本サンゴ礁学会誌
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白化現象がハナヤサイサンゴに共生している動物の群集構造に及ぼす影響
土屋 誠
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1999 年 1999 巻 1 号 p. 65-72

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抄録

1998年の夏、琉球列島のサンゴ礁で大規模なサンゴの白化現象が見られた。完全に白化したハナヤサイサンゴを採集して共生動物群集に対する影響を調査した。平常時に観察される6種のサンゴガニ類すべてが採集されたが、個体数は明らかに少なく、また1群体上に生息している種数も少なかった。共生種が全く認められなかった大型 (枝間の空間の体積が222cm3以上) の群体も多かったことは白化の影響が顕著であることを示している。通常、サンゴガニ類、サンゴテッポウエビ、ダルマハゼ類は雌雄ペアで生息しているが、白化した群体上では単独で生息している個体が多かった。サンゴガニ類は通年抱卵個体が認められるが、白化した群体上では抱卵個体の個体数は少なく、かつ抱卵数も少なかった。ミドリイシ類の共生種として知られているキモガニが白化したイボハダハナヤサイサンゴとヒメマツミドリイシから大量に採集された。

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