日本作物学会紀事
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栽培
温暖地における畑作付体系の違いがアーバスキュラー菌根菌の密度と後作物の生育·収量に及ぼす影響
臼木 一英山本 泰由
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2003 年 72 巻 2 号 p. 158-162

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抄録

温暖地の黒ボク土畑圃場において作付体系の違いが後作ダイズとスイートコーンの生育·収量に及ぼす影響についてアーバスキュラー菌根菌と関連させて検討した. 作付体系には, 陸稲を1年間栽培した跡に休閑を2年間継続する区, アブラナ科野菜を1年3作し, それを3年間連作する区, カンショを3年間連作する区, ダイズを3年間連作する区およびアブラナ科野菜とカンショ, ダイズをそれぞれ1年ごとに輪作する3通りの輪作区の計7区を設定した. アーバスキュラー菌根菌の胞子密度と後作スイートコーンへの感染は, 同菌の宿主であるダイズとカンショの連作跡とダイズ, カンショを最終年に作付けた輪作跡に比べ非宿主であるアブラナ科野菜の跡および休閑の跡で低かった. 特にアブラナ科野菜の連作跡の感染率は著しく低かった. ダイズの全重と子実重は, ダイズシストセンチュウの被害が著しかったダイズ連作跡を除くとアブラナ科野菜の跡と休閑跡で少ない傾向にあり, アブラナ科野菜の連作跡で最も少なかった. スイートコーンの全重は, アブラナ科野菜の跡と休閑跡で少なく, アブラナ科野菜の連作跡では雌穂収量も低かった. 温暖地の黒ボク土畑圃場でのアブラナ科野菜の連作跡, 休閑跡およびアブラナ科野菜の輪作跡におけるダイズおよびスイートコーンの生育量や収量の低下は, これらの跡ではアーバスキュラー菌根菌の胞子密度が低下して後作物への感染が抑制されたことに起因していると推察された.

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© 2003 日本作物学会
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