日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
作物生理・細胞工学
高温が水稲の登熟に及ぼす影響
―穂・茎葉別の高夜温・高昼温処理による解析―
森田 敏白土 宏之高梨 純一藤田 耕之輔
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 73 巻 1 号 p. 77-83

詳細
抄録

水稲の玄米1粒重は高夜温により低下し, 玄米の外観品質は高夜温でも高昼温でも低下する. 本研究ではこれらの要因を解析するため, 高夜温あるいは高昼温を穂に曝露した場合と茎葉に曝露した場合の玄米の粒重や外観品質への影響を調査した. 処理温度は, 対照を昼夜22°C一定, 高夜温を昼22°C, 夜34°C, 高昼温を昼34°C, 夜22°Cとした. その結果, 玄米1粒重は, 稲体全体に高夜温を曝露した試験区で7~11%, 穂のみに高夜温を曝露した試験区で5~6%低かったものの, 茎葉のみに高夜温を曝露した試験区では差が認められなかった. また, 玄米の粒幅と粒厚は, 茎葉ではなく穂の高夜温処理により減少することが明確となった. さらに, 玄米1粒重と個体重との間に有意な相関関係が認められなかった (r=0.241) ことから, 高夜温による玄米1粒重の低下の主因は茎葉での呼吸昂進による炭水化物量の不足ではないことが推察された. また, 玄米の外観品質については, 主に穂を高夜温あるいは高昼温にした場合に低下することが明らかになった. 茎葉のみを高夜温にした場合に玄米の外観品質の低下がほとんど認められなかったことから, 高夜温による玄米の外観品質の低下の主因は, 玄米1粒重の場合と同様に茎葉での炭水化物不足ではないと考えられた.

著者関連情報
© 2004 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top