日本作物学会紀事
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収量予測・情報処理・環境
収量段階別にみた稲体の生育特性
―熊本県菊池郡市における一事例―
片野 學草野 龍郎春名 竜三塩見 正博
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2004 年 73 巻 2 号 p. 212-216

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抄録

熊本県北部に位置する菊池市, 菊池郡七城町および旭志村で, 昭和40年代後半から, それぞれ稲作研究会を結成し, 停滞していた単収500kg/10a水準を打破する道筋を研究していた精農家グループ43水田, 50地点で生育した水稲を昭和60年に調査した. 平均的作柄を示す水田中央部から連続した3畦×10株, 計30株を収穫期に収穫し, 占有面積を測定するとともに収量調査を行った. 簡単・迅速調査法である30株収量調査法によって得られた収量の最大は744g/m2, 最小は544g/m2で, 収量は多様であった. 収量を30g/m2ごとに区分し, 各収量段階と収穫物諸特性との関係を解析した結果, 株数, 穂数, もみわら比および千粒重には, 収量段階による有意差は認められなかったが, m2当たり精籾数(収量÷千粒重), 地上部全重, 1穂収量(1穂当たりの収量), 1穂当たり精籾数(1穂収量÷千粒重)およびワラ重には収量段階によって5%レベル以上の有意差が見出され, これらの項目が大となるほど収量段階が高くなっていた. つぎに, 茎数推移調査によって得られた最高茎数, 有効茎歩合および収量段階との間には, 580本→80%→660g/m2台, 580本→70%→630g/m2台, 480本→80%→600g/m2台という関係が認められた. さらに, 土性, 裏作物, 施肥条件にかかわらず, 7月16~23日おける茎数増加数が収量段階と密接な関係にあり, 230本→660g/m2台, 200本→ 630g/m2台, 160本→570~600g/m2台となっていた.

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© 2004 日本作物学会
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