日本作物学会紀事
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栽培
水稲育苗箱の培土量減量による軽量・低コスト化に関する検討
―群馬県におけるプール育苗条件において―
高橋 行継佐藤 泰史加部 武栗原 清阿部 邑美吉田 智彦
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2004 年 73 巻 4 号 p. 389-395

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抄録

群馬県におけるプール育苗条件下で,水稲育苗箱全重の軽量化と育苗の低コスト化を目的として,育苗箱に使用する培土量の減量について検討を行った.覆土量は原則として7 mmの一定とし,床土量を標準の厚さ17 mmに対して13,11,7 mm,さらに無床土区まで設定して検討を行った.その結果,床土量7 mm,さらに覆土7 mmのみの無床土でも育苗は可能であり,移植精度も著しい低下はみられなかった.しかし,無床土では出芽時の根上がりが多く,播種時の種子飛散防止対策も必要であった.さらに床土量7 mm区と共にマットが極端に薄くなるため,移植作業時のマットの取り扱いに十分注意を払う必要があった.このため技術として広く普及させるためには問題があると判断した.移植時のマットの取り扱いやすさ,移植精度を含めて,培土の減量を考えたときの実用的な培土量は床土11 mm,覆土7 mmの計18 mmであった.この減量により,育苗箱重量は約20%,培土の費用は約25%の低減が可能であった.

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© 2004 日本作物学会
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