日本作物学会紀事
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ダイズ子実中のイソフラボン含量および組成の品種・系統間差異と子実特性および播種時期との関係
境 哲文菊池 彰夫島田 尚典高田 吉丈河野 雄飛島田 信二
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2005 年 74 巻 2 号 p. 156-164

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抄録

ダイズ子実に含まれているイソフラボンは, 様々な薬理効果が報告されており, イソフラボン含量が高い高機能性の品種開発が期待されている. そこで, 子実中のイソフラボン含量と組成の遺伝的改良が可能かどうかを明らかにするため, 1996~2002年の7年間に, ダイズとその野生種であるツルマメの遺伝資源延べ約2,000点を供試し, イソフラボン含量の品種・系統間差および年次間変動について解析した. その結果, イソフラボン含量は23.5~848.5mg/100gDWに分布し, 一般に早生群は低く, 中生~晩生群では品種・系統間差が顕著であった. イソフラボンの総アグリコンに占める総ダイゼインの割合は18.6~81.7%と品種・系統間の変異幅が大きく, かつ安定していた. また, 18品種・系統を6年間供試しイソフラボン含量の年次間変動係数を調査したところ13.1~60.7%であり, 含量と年次間変動係数に相関関係はみられなかった. このうち15品種・系統の2ヶ年にわたる平均イソフラボン含量は標播区より晩播区で高くなる傾向にあり, 両区の含量には高い有意な正の相関関係が認められた. また, 供試した遺伝資源において含量と種皮色, 子葉色, 百粒重および粗蛋白質含有率には相関が認められなかった. 以上のことは, 子実の外観, 大きさが変異に富み, 高含量かつ安定してイソフラボンを含む品種育成と栽培による高含量化の可能性を示している.

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© 2005 日本作物学会
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