日本作物学会紀事
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作物生理・細胞工学
高温条件下における紫外線 (UV-B) の照射が幼穂形成期以降の水稲の生育に及ぼす影響
稲葉 健五
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2005 年 74 巻 2 号 p. 200-206

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抄録

水稲品種コシヒカリを用い, 幼穂形成期に当たる出穂2週間前以降に高温(昼-夜温;35-30℃)とUV-B(強UV-B;60.4 kJ/m2・day, 弱UV-B;18.1 kJ/m2・day)を組合せた処理を5日間行い, 開花・結実にどのような影響があるかを検討した. 強UV-Bだけを処理した場合, 不稔籾が対照区に比べて多少増加したが, その他には大きな影響を受けなかった. 高温区と高温+弱UV-B区の場合は, 出穂2週間前と出穂日からの処理で不稔が増加し, 出穂2週間後からの処理で多少籾重が減少した. 高温+強UV-B区の場合は, 出穂2週間前からの処理で不稔が増加し, 籾や葯の大きさが小さくなった. 開花日からの処理で不稔が大きく増加し, 葯長が短く, 花粉の充実度が大きく低下した. また, 出穂2週間後からの処理で籾重が減少した. 更に止葉の光合成速度も一時的に低下した. 以上のように高温と強UV-Bを同時処理すると, 高温やUV-Bの単独処理ではなかったような生育に対する悪影響が現れたり, 高温やUV-B単独の影響で現れた不稔や花粉の不良などの悪影響が増強されて発現した.

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© 2005 日本作物学会
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