ダッタンソバの農業関連形質および子実成分等の特徴を明らかにするために, 九州(熊本県)と関東(茨城県)でそれぞれ2カ年圃場試験を実施した. その結果, 草丈, 主茎長, 主茎節数, 一次分枝数などの形態的な形質, および全重, 収量などの生育量に関する形質の年次変動の程度は異なるが, 品種間差が認められ, 品種の序列も各年次でほとんど変化が無く, これらの形質は品種の特性を表す指標になると考えられた. 草丈などの形態的な形質の年次変動は小さいが, 全重, 収量などの生育量に関する形質の年次変動は大きかった. さらに個体サイズや生育量の大きい品種が多収を得るのに有利であることが示された. 早播と標播を比較した結果, 播種日の移動に対する反応は品種により異なることが示された. 子実成分を調査した結果, ダッタンソバ子実のルチン含量は普通ソバの100倍以上であったが抗酸化能は普通ソバの3~4倍であったことから, ダッタンソバと普通ソバでは抗酸化能に寄与する主な物質が異なると推測された.