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日本作物学会紀事
Vol. 75 (2006) No. 3 P 409-411

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http://doi.org/10.1626/jcs.75.409

連載ミニレビュー

この半世紀,「緑の革命」に代表される増産主体の栽培技術は,人口爆発に伴う食糧需要をなんとか支えてきた反面,農業生態系全体の調和・持続性との間に大きな摩擦を生んできた.さらなる人口増,工業化や砂漠化による耕地面積の減少,地球規模での異常気象などによってこのジレンマが拡大の一途を辿るなかで,作物の生産性や環境耐性の強化が強く求められている.従来,こうした生理生態的形質の制御を研究するにあたって最も重要な材料とされてきたのは,品種の間にみられる農業特性の違い,すなわち品種間差である.突然変異体とは異なり,品種と品種の間の違いには多数の遺伝変異が関与している.しかも,それらの遺伝変異は,その大半が後述の“自然変異”である関係上,人為突然変異とは異なり微動遺伝子として振舞うことが多い.このため,品種の間の遺伝的差異を個々の遺伝子座に分割して解析することはきわめて難しいことであったが,1980年代末における量的遺伝子座解析法の登場以来,この難問もかなりの程度まで克服されつつある.本稿ではこうしたアプローチを取り上げ,筆者らが主として扱ってきたイネを中心にその基礎を概説する.

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