いもち病真性抵抗性マルチラインを構成する同質遺伝子系統の混合割合が収量性に与える影響を調査するため, 抵抗性遺伝子型Pia, Pii, Pita-2, Piz及び抵抗性を持たない原品種を混合してマルチラインを構成し, いもち菌レース137を接種源とした穂いもち多発条件下で栽培した. 4種の真性抵抗性系統を原品種に25%づつ混合する要因実験を行った結果, 精玄米重, 精玄米重歩合及び減収率においてPita-2及びPiz系統の混合の有無が大きな寄与率を示し, 収量性は優占するレースに対する抵抗性系統の割合に大きく左右されることが明らかであった. また, 収量性を維持するためには, Pia, Pii, Pita-2及びPiz系統をすべて混合する条件が最適であり, 精玄米重は411.7 g m-2, 減収率は抵抗性系統の単植栽培と比較して10.6%であった. 一方, 原品種の単独栽培においては, 精玄米重は259.1 g m-2, 減収率は43.7%となった. 以上のことから, 抵抗性及び罹病性系統を同じ比率で混合したマルチラインは, 穂いもち多発条件下において, 精玄米重を152.6 g m-2増収し, 減収率を33.1%改善する効果を持つことが示された.