日本作物学会紀事
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栽培
生育時期別窒素追肥が水稲の形態的形質に及ぼす影響およびその品種間差異
福嶌 陽
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2007 年 76 巻 1 号 p. 18-27

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抄録

水稲品種ヒノヒカリ,タカナリおよびアケノホシを用いて,生育時期別窒素追肥が穂・葉・茎の形態的形質および乾物生産特性等に及ぼす影響を解析した.極早期追肥(出穂約39日前),早期追肥(出穂約29日前),標準期追肥(出穂約19日前)および晩期追肥(出穂約8日前)を行った.1穂分化穎花数は早期追肥区で多く,1穂退化穎花数は標準期追肥区で少なく,その結果,1穂穎花数は早期追肥区と標準期追肥区で多かった.葉身長および葉鞘長は追肥時期に急伸長中の葉位で長くなったが,節間長は追肥時期による差異が小さく不明確であった. LAIは,極早期追肥区および早期追肥区で増加したが,全乾物重は,追肥時期による変化が比較的小さかった.茎数は極早期追肥区で増加したが,穂数は極早期追肥区,早期追肥区,標準期追肥区の間で差異は認められなかった.総籾数は早期追肥区と標準期追肥区で多かった.品種間で比較すると,追肥による1穂分化穎花数,葉身長,およびLAIの増加程度は,タカナリで最も大きかった.このことから,形態的形質の制御のためには,施肥反応の品種間差異に着目する必要があることが示唆された.

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© 2007 日本作物学会
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