日本作物学会紀事
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品質・加工
コムギ種子のアントシアニンが抗酸化活性と休眠性に及ぼす影響
入来 規雄石井 現相桑原 達雄田引 正西尾 善太藤田 雅也石川 直幸関 昌子渡部 信義
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2007 年 76 巻 4 号 p. 569-575

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抄録

アントシアニンを果皮に含むpurple pericarp品種と糊粉層に含むblue grain品種の全粒粉のアントシアニン含量には, 品種間差および栽培環境の影響が観察され, 全粒粉のアントシアニン含量とメタノール抽出溶液の抗酸化活性には正の相関が認められた. アントシアニンを含まない品種では, XYZ-dish法により評価した全粒粉の抗酸化活性の平均値は, 種皮色が赤粒品種のほうが白粒品種よりも有意に高かった. したがって, 種皮色も抗酸化活性に影響を及ぼすと考えられた. 種皮色等の遺伝的背景の影響を除いて種子のアントシアニンが抗酸化性に及ぼす影響を評価するため, blue grain品種のBlue Darkに春播コムギ品種ハルユタカ(赤粒品種)を戻し交雑した. BC7F4種子におけるメタノール抽出溶液の抗酸化活性および種子休眠性を評価したところ, 抗酸化活性はBlue Darkと同等であり, また, 種子休眠性がハルユタカに比べて高かった. したがって, blue grainの形質は, 種子の抗酸化活性を高めるとともに, 種子休眠性を向上させることが明らかとなった.

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© 2007 日本作物学会
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