水稲育種におけるアミロース含有率の測定は, 一般にオートアナライザーを利用したヨード呈色法で単一波長 620 nmで行われている. 我々はヨウ素吸収曲線(波長400 nm~900 nm)を自動測定できるマルチチャンネル検出器を備えたオートアナライザーを開発した. この装置を用いて, アミロースの分子量が最大吸収波長(λmax)に及ぼす影響, 登熟温度が米粉のヨウ素吸収曲線および熱糊化性に及ぼす影響と簡易な老化性指標(コンシステンシー)の評価法を検討した. λmax はアミロースの分子量が約70000以上では, 約598 nmであった. λmax とアミロース濃度との間には正の相関が認められた. λmax は登熟温度が高いほど短く, うるち品種に比べて低アミロース変異(dull)系統では登熟温度による変動が大きかった. ヨウ素吸収曲線を Fr. I(400~600 nm)と Fr. II(600~900 nm)とに分割し, それぞれのピーク面積の比(Fr. I/II)を求めた. Fr. I/II(X)とコンシステンシー(Y)には Y =(29.7X-27.1)/(0.73X-0.72)の関係が良く適合(R2 = 0.799)し, Fr. I/IIで簡易に米粉の老化性が評価できることが明らかとなった.