日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
異なる栽培法における欠株が水稲の生育・収量に及ぼす影響
渡邊 肇佐々木 倫太郎関口 道鈴木 和美三枝 正彦
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2009 年 78 巻 1 号 p. 95-99

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抄録

速効性肥料を用いた耕起側条施肥栽培(以下, 標準栽培)と, 肥効調節型肥料(CAF), 品種の草型, 栽植密度などの栽培条件およびCAFを用いた不耕起移植栽培における欠株が, 水稲の生育と収量に及ぼす影響を比較, 検討した. ひとめぼれを供試した標準栽培では, 茎数は欠株率が高いほど少なく推移した. 収量は, 有意差はなかったが, 欠株率が高いほど減少する傾向がみられた. 欠株による減収を5%まで許容した際, 欠株率の許容限界は15%であった. また, 一株穂数と一穂籾数は, 有意差はなかったが, 欠株率の増加に伴い増加する傾向がみられた. 欠株の位置関係では, 同条に欠株(同条欠株)がある株の方が, 隣条に欠株(隣条欠株)がある株より生育量が大きく, 同条欠株の方が隣条欠株にくらべ生育の補償作用が強かった. CAFの施用, 穂数型品種であるササニシキの使用および疎植栽培では, 欠株率の増加に伴い, 収量は減少する傾向がみられた. 収量の相対値と欠株率との関係を検討した結果, 疎植条件とCAF施用条件では, 欠株の影響が小さかった. また, ササニシキの供試と不耕起移植条件では, 欠株の影響が大きかった. さらに, 5%減収にいたる欠株率を許容限界として, その欠株率を算出した結果, CAF施用条件で17%, 疎植条件で22%であった. 一方, ササニシキ供試条件で14%, 不耕起移植条件で12%であった. このように, 本研究では, 肥効調節型肥料の使用や栽植密度の減少は, 欠株の影響が小さく, 穂数型品種や不耕起栽培では, 欠株の影響が大きいことが示唆された.

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© 2009 日本作物学会
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