日本作物学会紀事
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栽培
10年以上連作した畑作物の収量に及ぼす土壌燻蒸と有機物施用の影響
松崎 守夫
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2009 年 78 巻 3 号 p. 312-323

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抄録

5種類の畑作物,テンサイ,バレイショ,春播コムギ,ダイズ,アズキを連輪作した試験で,連作区10区,輪作区1区を設けた.連作区では,試験初期から有機物を連用した区,連作11年目以降,土壌燻蒸を行った区,それらの処理を行わない対照区を設けた.輪作区でも有機物連用,土壌燻蒸は行わなかった.連作11~16年目のデータについて,年度を反復とする分散分析を行い,輪作区に対する有意差から,連作による減収,その減収を軽減する処理について検討した.また,減収軽減をもたらす要因についても検討した.連作による減収はテンサイ,センチュウ抵抗性の弱いダイズ品種,アズキで著しかった.有機物施用は土壌の熱水抽出窒素濃度を増加させる傾向があり,テンサイの糖量,センチュウ抵抗性の弱いダイズ品種の収量も増加させた.しかし,連作したテンサイの糖量は,土壌の熱水抽出窒素濃度が同程度であっても,輪作区よりも低い値となったことから,連作によってテンサイの養分吸収力が低下したと考えられた.殺菌剤であるトリクロロニトロメタン(クロルピクリン)は,テンサイ,バレイショ,春播コムギのうち,テンサイの糖量を増加させた.殺センチュウ剤である1,3-ジクロロプロペン(D-D剤)は,ダイズ,アズキのうち,アズキとセンチュウ抵抗性の弱いダイズ品種の収量を輪作区並に回復させた.連作したテンサイ,アズキでは,熱水抽出窒素濃度が低い場合でも,土壌燻蒸によって高い収量が得られ,この効果は,土壌燻蒸による殺菌・殺センチュウ効果に由来すると考えられた.

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© 2009 日本作物学会
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