日本作物学会紀事
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品質・加工
インドネシアのイネ品種の家系の特徴およびその農業形質や食味との関係
吉田 智彦AnasRosniawaty SantiSetiamihardja Ridwan
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2009 年 78 巻 3 号 p. 335-343

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抄録

インドネシアのイネ品種は総祖先数が2000を超えるものがあり,家系が複雑になっていた.IRRI育成品種が大きな遺伝的背景を占めていた.最終の祖先である低脚烏尖,Cina,Latisail,Gampai,Tadukanの5品種で46.1%の寄与をしていた.栽培面積とIR64との近縁度から,総水田面積の50.6%はIR64の遺伝的背景を有すといえた.近縁度の値をもとにしたクラスター分析で,インドネシア品種は大きく5つに分類された.IR36, Peta, Cisadaneなどの近縁係数と収穫迄日数とは正の相関であった.IR64を遺伝的背景に持つと草丈が短くなった.CiapusやCisadaneの積極的な交配親としての利用を提唱した.IR8との近縁係数は千粒重と負の相関を有し,多収目標の育種での利用は有望と判断されず,IR8の組合せ能力は他の品種と異なっていると思われる.Sintanurの遺伝的背景を持つ品種は香りが良いと評価された.Kalimasの遺伝的背景は食味を低下させた.

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© 2009 日本作物学会
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