78 巻 (2009) 3 号 p. 363-370
2007年産及び2008年産の冬作で農林61 号が耕起または不耕起栽培された茨城県稲敷市,同県筑西市及び桜川市にある3つの農業経営体が管理する2か年延べ26圃場で草丈と土壌水分の調査を行った.まず,2007年産で稲敷市の1.8haの水田圃場内において,10m間隔の格子状に81地点で調べた結果,土壌水分と草丈に有意な負の相関関係を認めた.2007年産では,これを含む7圃場のすべてで両者に負の相関関係が得られ,そのうち6圃場では相関係数が有意であった.つぎに,2008年産で計19圃場において同様の調査を行った.調査の結果,1圃場で有意な正の相関関係が得られたものの,他の18圃場では負の相関関係が得られ,そのうち15圃場では相関係数が有意であった.なお,土壌水分と草丈に負の相関関係が得られた3圃場について,土壌の可給態窒素,リン酸及びカリ含量を調べた結果,1圃場では土壌養分と草丈に正の相関関係がみられたが,2圃場では関係がみられなかった.以上のことから,茨城県南部の水田圃場では多くの場合,土壌水分の過多がコムギの生育を抑制するひとつの原因となっていたと考えられる.