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日本作物学会紀事
Vol. 79 (2010) No. 1 P 76-80

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http://doi.org/10.1626/jcs.79.76

連載ミニレビュー

イネ,コムギ,トウモロコシなどのイネ科種子には10-12%,ダイズなどマメ科種子には20-40%のタンパク質が含まれるが,その多くを貯蔵タンパク質と呼ばれるタンパク質が占めている(Shewryら 2002).種子貯蔵タンパク質とは,登熟期の種子に組織特異的・時期特異的に大量に蓄積し,種子が発芽する際に必要な栄養素を貯蔵するタンパク質のことである(井出・藤原 2009).食料における穀物への依存度が高い発展途上国の人々にとって,種子貯蔵タンパク質は特に貴重なタンパク源であることから,その栄養性の改善は重要な課題である.また一部の種子貯蔵タンパク質は,優れた食品加工特性や生理機能性を有することから,それらを原材料として作られる食品の嗜好性や健康維持増進性が先進国において注目されている.一方,その遺伝子発現の特異性ゆえに,遺伝子発現調節機構(Furtadoら 2008)やタンパク質・mRNAの細胞内輸送・集積機構(Fujiら 2007,Wang ら 2008)に関する研究材料,あるいは医薬品等の有用組換えタンパク質を生産するための基盤(Takaiwaら 2007)としても研究が進められている.本稿では,このように穀物種子の品質に大きく影響を及ぼす貯蔵タンパク質に関して,著者がこれまで取り組んできたイネ種子の主要な貯蔵タンパク質であるグルテリンを例に,タンパク質の基礎的な分析方法について解説するとともに,タンパク質組成の変動をもたらす植物栄養生理に関する最近の知見を紹介する.

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