栃木農試の11~16年間の試験結果から,麦類の収量と外観品質の変動要因を検討した.その結果,ビール大麦「あまぎ二条」,「ミカモゴールデン」の収量は,千粒重及び整粒歩合との関係が強く,小麦「農林61号」の収量は穂数との関係が強かった.一方,六条大麦「シュンライ」の収量は穂数と正の相関関係にあるものの,相関関係は有意ではなかった.また,大麦3品種では,収量と稈長との間に有意な正の相関関係が認められた.子実の外観品質は,ビール大麦「ミカモゴールデン」では成熟期が遅いほど品質が優れ,小麦「農林61号」では出穂から成熟までの日数が短いほど品質が優れていた.なお,ビール大麦「あまぎ二条」及び小麦「農林61号」の茎数は2月の日最低気温が高いほど少なくなる傾向が認められ,茎立期前60日間の日最低気温が低いほど地上部乾物重は増加した.以上のことから,麦類の生育,収量及び子実の外観品質の関係は麦種や品種により異なることが明らかになった.