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日本作物学会紀事
Vol. 80 (2011) No. 1 P 1-12

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http://doi.org/10.1626/jcs.80.1

総 説

急増するイネの耐乾性改良に関する研究の最近の動向を紹介する.天水栽培条件下での作物改良による増収は,トウモロコシ,コムギ,エンバクの他,ブラジルと日本の陸稲においても認められており,育種や形質の寄与について評価されてきた.2009年の時点で,イネの耐乾性改良の育種を組織的に行っている主要な組織は,国際稲研究所などの国際農業研究協議グループ(CGIAR),インド,タイ,中国の政府系研究機関である.メコン地域では,ターゲット環境での多地点試験の遺伝環境交互作用の解析により,広域適応性を高めるように天水田イネ育種が改良されている.フィリピンと東インドでは,乾季の開花期の旱魃スクリーニングでの収量の直接選抜により多収系統・品種が開発され,普及拡大が計画されている.一方,根系を介したストレス回避機構をはじめとして,様々な耐乾性候補形質が評価され,重要な量的遺伝子座の集積する領域が列挙され,インドでは分子マーカー選抜育種による深根性で早生多収の品種が開発された.耐乾性遺伝子の同定,ストレス応答性転写因子や耐乾性遺伝子を過剰発現した組換え体の圃場での評価も報告されてきた.分子生物学的手法においても,圃場評価と表現型の同定(フェノタイピング)は重要であり,表現型科学進展のための最新施設も造成されている.

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