日本作物学会紀事
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栽培
アミロース含有率が異なる栽培ヒエの生育・収量および 品質に関する品種・系統間差異
熊谷 成子吉田 晴香佐川 了谷口 義則星野 次汪
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2011 年 80 巻 3 号 p. 269-276

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抄録

ウルチ性・早生系統の「軽米在来(白)」と,ウルチ性・中生系統の「ノゲヒエ」,アミロースを含まないモチ性品種の「長十郎もち」の3品種・系統の生育,収量および品質に関する品種・系統間差異を明らかにするため,2006年と2008年に試験を行った.その結果,「軽米在来(白)」は穂数型,「ノゲヒエ」と「長十郎もち」は穂重型の特徴を有していた.草型からみた追肥時期は,「軽米在来(白)」では登熟歩合の向上に効果的な8月上旬,「ノゲヒエ」と「長十郎もち」では穂数の増加に効果的な有効分げつ期前半の7月上旬であると考察した.農業および収量特性は,「ノゲヒエ」と「長十郎もち」の間には有意な差異は認められなかった.低アミロース性の「ノゲヒエ」のアミロース含有率は,「軽米在来(白)」の半量程度であった.70%精白粉の平均粒度は,「ノゲヒエ」と「長十郎もち」が「軽米在来(白)」より有意に大きかった.70%精白粉の色調と色相は,「軽米在来(白)」では「ノゲヒエ」と「長十郎もち」に比べ,明度は劣るが彩度は高く,やや黄色味を帯びていた.糊化特性は,「軽米在来(白)」はセットバック値が大きく,「ノゲヒエ」はブレイクダウン値が大きく,セットバック値が小さかった.「長十郎もち」は最高粘度が低く,なだらかな曲線を描いた.分散媒が水と硝酸銀の比較では,すべての特性値において,硝酸銀の方が高い値を示し,「長十郎もち」では分散媒による差異が大きかった.

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