日本作物学会紀事
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作物生理・細胞工学
ダイズへのガンマ線生体緩照射の影響
森下 敏和清水 明美
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2011 年 80 巻 3 号 p. 341-345

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抄録

生育中のダイズ (品種,エンレイ) へのガンマ線生体緩照射が生育や着粒に及ぼす影響を調査した.ガンマーフィールドで約2.4 Gy/日の線量率で幼苗期から1~4,8,12週間照射,開花期から1~4,8週間照射,子実肥大期から1~4週間照射して各形質を調査した.その結果,子実肥大期からの照射は精粒数への影響が認められなかったのに対して,幼苗期および開花期からの照射は照射期間が長くなるにつれて株当たりの精粒数は減少し,4週間の照射 (総線量50 Gy弱) で無照射の約1/3となった.幼苗期からの照射による精粒数の減少は幼苗期の生育が抑えられたことによる莢数の減少と空莢の発生が関与していた.開花期からの照射による精粒数の減少は空莢の多発が関与していた.また全生育期間中生体緩照射の場合,1.1 Gy/日 (総線量約120 Gy) を越えると空莢の発生と精粒数の減少が顕著であった.

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© 2011 日本作物学会
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