日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
寒冷地における水稲の初冬播き乾田直播栽培が生育・収量に及ぼす影響
下野 裕之玉井 美樹濱嵜 孝弘佐川 了大谷 隆二
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2012 年 81 巻 1 号 p. 93-98

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抄録

雪解け後の春作業が制約される寒冷地の水稲栽培の作期拡大のため,初冬播き乾田直播栽培の可能性を検討した.播種時期として初冬播き3時期(10月,11月,12月)と春播き1時期(4月)を設定し,数種のシリコーン剤を塗布したシリコーン処理の効果を出芽率,生育,子実収量から岩手県において評価した.出芽率は春播きでは89%であったが,初冬播きで有意に低く,2.6%(2008/2009年),5.9%(2009/2010年)となった.初冬播き間で比較すると,播種時期間,シリコーン処理間で有意な差異がみられなかった.単位土地面積あたりの苗立ち数は,春播きの250本m-2に対し,初冬播きにおいては,播種量を春播きの約5倍量としたため平均 79 本m-2得られた(2009/2010年).その結果,収穫期の乾物重と子実収量は,春播きと初冬播きとの間に有意な差異は認められなかった.今後,播種量を経済的な範囲まで下げるためには,出芽率の低下要因の解明が不可欠である.

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© 2012 日本作物学会
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