水田転換畑で問題となっている帰化アサガオ類の発芽に及ぼす気相酸素濃度の影響を明らかにするために,アルゴンガスで気相を置換する簡易な発芽試験法によって発芽試験を試みた.本法では,酸素濃度0%を想定した処理区の酸素濃度は,実測値で0.62%であり,完全嫌気条件は設定できなかった.想定した酸素濃度 (0,1,5,10,20%) 条件下では,マメアサガオ (Ipomoea lacunosa L.) は,いずれの濃度設定区でも比較的高い発芽率を示し,ホシアサガオ (I. triloba L.) は,0%区においても30%の発芽率を示した.一方,マルバアメリカアサガオ (I. hederacea (L.) Jacq. var. integriuscula A. Gray) は,対照として供試したダイズ品種フクユタカと同様に,0%区と1%区では発芽が著しく抑制された.置床4日目における幼根長および下胚軸長については,マルバアメリカアサガオではダイズと同様に酸素濃度の低下に伴う抑制が顕著であった.以上のように,帰化アサガオ類の酸素低濃度条件における発芽特性には種間差があることが明らかになった.また,今回用いた簡易ガス置換法は,作物の湿害を理解する際の酸素低濃度条件における簡易な発芽試験法として利用できることが示された.