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日本作物学会紀事
Vol. 84 (2015) No. 1 p. 34-40

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http://doi.org/10.1626/jcs.84.34

栽培

秋まきコムギの分げつ性は,暖地ではいくつかの知見が報告されているが,北海道のような長期積雪地帯では調査事例は知られていない.これは,積雪期間が4~5ヶ月と長い北海道では労力的に分げつ追跡が困難であることや,簡易で有効な追跡手法が検討されていないためである.そこで本研究は,北海道の秋まきコムギ品種きたほなみを用い,簡易的な分げつ追跡手法を検討した.更に,この分げつ追跡手法を用いて,分げつ出現時期が穂の形成や収量に及ぼす影響を調査した.その結果,分げつの追跡は市販の着色輪ゴム (直径1 cm程度のヘアゴム) を用いることで越冬前から成熟期まで容易に追跡が可能であり,調査精度も高かった.分げつ出現時期と有効化率との関係では,越冬直前に葉数2枚以上を有する分げつ (越冬前頑健茎) は有効化率が75~100%と高く,越冬後に出現する分げつは0~4%と低かった.これらの分げつから形成された有効茎の稈長と穂長を調査したところ,越冬前頑健茎から形成された有効茎の稈長と穂長は長かった.収量構成要素では,千粒重に差は無かったが,越冬前頑健茎は1穂粒数が多いため,1穂子実重は高まった.単位面積あたり収量に対する構成比率では,越冬前の出現分げつで99%と大部分を占めた.以上のことから,北海道の秋まきコムギでは,越冬前の出現分げつにより穂数が決定され,収量が左右されると推察した.

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