日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
野菜用アマランサス(Amaranthus spp.)の沖縄県における生育特性および品質の系統間差異
大城 正信赤嶺 光ホサイン モハメド アムザド仲村 一郎玉城 政信野瀬 昭博
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2015 年 84 巻 1 号 p. 69-77

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抄録

沖縄県での栽培に適した野菜用アマランサス系統を選定するために,南・東南アジアから導入した乾物生産の高い系統,バングラデシュ由来の3系統(バングラデシュ;BB,BCおよびバングラデシュレッド;BR),インド由来の1系統(インディアベンガル;IB),ベトナム由来の1系統(V),台湾由来の1系統(TW)と国内で種子販売されているバイアムトリカラー(BT)の7系統について調査した.BB,BC,BRおよびIB系統は生長が早く,V,TWおよびBT系統よりも草丈が高かった.株当たりの葉数と葉面積は,BC系統が最も高く,次いでBBとBR系統であった.BB,BCとBR系統は葉生重よりも茎生重が大きく,V,TWとBT系統は茎生重より葉生重が大きかった.全茎葉重は,3回の実験においてBC系統が最も大きく,次いでBBであった.葉における無機成分含量では,TWとBT系統のカリウム(K)含量が高く,BB,BCとBR系統ではカルシウム(Ca)含量が高かった.また,マグネシウム(Mg)含量はBB,BC,BRおよびTW系統が高かった.1株あたりの可食部ナトリウム(Na)およびK含量は,BC系統が高い値を示し,次いでBB系統であった.また,Ca含量および粗タンパク質含量は,BB系統が最も高かった.可食部の鉄(Fe)含量は,BB系統が高い値を示した.以上より,生育特性,収量および品質の面から,沖縄での野菜用アマランサス栽培には,BBおよびBC系統が適すると考えられた.

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© 2015 日本作物学会
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