日本作物学会紀事
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栽培
刈取り高さが畑地および水田で栽培されたケナフ(Hibiscus cannabinus L.)の地上部収量に及ぼす影響
志水 勝好柴山 美智子山ノ内 真恵小関 里奈石川 尚人
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2015 年 84 巻 3 号 p. 243-248

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抄録

ケナフを飼料作物として利用するため,草高1m程度に成長した時に刈取り,更に再生草を収穫することを考えた.実験1として刈取り時の適正な刈取り高を調べるため,人工気象器内で草高約1m程度に成長したケナフを刈取り(刈取り高:15,20,25,30,35cm),1番草と再生草について生体重,乾物重を測定した.実験2で2006年と2007年に刈取り栽培実験を水田(2006年:刈取り高25cm,2007年:刈取り高20cm),畑地(両年:刈取り高20,25および30cm)で行った.実験1の結果,1番草と再生草の生体重,乾物重それぞれの合計では刈取り高の異なる処理区間に統計的には差は見られなかった.しかしながら25,30cmでは他に比較して高い傾向を示す一方,35cmでは逆に減少する傾向がみられた.総収量を考慮すると,3節程度が残る刈取り高さ25cm以上が望ましく,かつ35cmでは合計収量が低下する傾向にあることから30cm程度の刈取り高とするすべきと考えられた.実験2の結果,畑地では30cm未満の刈取りでは再生個体率が3.0~3.7%と著しく低く,刈取り後の灌水により再生個体率の増加が見られたが30cmでは灌水の効果は見られず約15~16%であった.一方,ケナフ苗を湛水状態で移植し栽培した水田では刈取り後の再生個体率が2006年で100%,2007年で97.4%であり著しく高く,また畑地とは異なり生育が降雨の影響を強く受けないこと,粗蛋白含有率が高いことから,水田栽培ケナフの2度刈りによる飼料的利用の可能性が考えられた.

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