日本作物学会紀事
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品種・遺伝資源
北海道における秋播性コムギ新旧品種きたほなみとホクシンの生育・収量特性の差異
笠島 真也今井 康太清水 隆大伊藤 博武中丸 康夫吉田 穂積佐藤 三佳子神野 裕信吉村 康弘高橋 肇
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2016 年 85 巻 2 号 p. 155-161

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抄録

北海道における秋播性コムギの基幹品種きたほなみは,従来の品種ホクシンに比較して収量性が高い.その多収要因を明らかにするために,2011/2012年と2012/2013年の2作期にわたって,両品種の生育・収量特性を比較した.きたほなみは,子実収量がホクシンに比べて8%多かった.これは一穂粒数が多く,千粒重が重かったためであり,シンク容量が大きかったことが多収要因であった.また,成熟期の全乾物重は,きたほなみがホクシンよりも13%重かった.全乾物重は,乳熟期から成熟期までのCGRが高かったために重く,特に穂の乾物重が大きく増加したことから,登熟後半でのソース能力が高かったことも多収要因であった.きたほなみは,葉身の窒素含有率が乳熟期と成熟期において第2葉と第3葉でホクシンよりも高く,登熟後半でも直立した緑色葉が効率的に光エネルギーを吸収してNARを高く維持したために乳熟期以降に乾物生産を高く維持したと推察された.

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