2019 年 88 巻 2 号 p. 143-148
播種期の違いが油料アマの収量と収量構成要素に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,品種Lirina を2015年と2016年の2月から12月までの間ほぼ1週間おきに播種した.播種から開花までには40日以上の日数と約600度・日の有効積算温度(基準温度5℃)が必要であった.春播き(2月中旬から6月中旬),夏播き(7月下旬から9月中旬),秋播き(10月中旬から12月下旬)によって種子の収穫が可能であった.春播きと夏播きでは,それそれの期間内において,播種が遅いほど,単位面積あたりの蒴数,蒴あたりの種子数,および種子一粒重が減少し,収量が低くなった.秋播き(越冬ののち翌春に収穫)ではこれとは逆の傾向にあり,播種が遅いほど収量構成要素のいずれもが増加し,収量が高かった.春播きでは開花期以降の高温が,夏播きでは逆に開花期以降の低温が,蒴や種子の形成や発達を妨げる要因になっていたと考えられた.いっぽう,秋播きでは,播種が遅いほど越冬した個体の倒伏程度が軽微であったことが高収量の主な原因であった. 2月中旬から4月中旬まで(春播き),7月下旬から8月上旬まで(夏播き),および10月中旬から11月下旬まで(秋播き)がこの品種の播種適期と判断された.