抄録
メヒシバ, カヤツリグサ, シロザ, オオイヌタデ, スベリヒユ, 参考として陸稲を供試, それらの生育に及ぼす遮光処理の影響について, 1973, 74年の2か年にわたり検討した. 得られた結果は次の通りである.
1. 草丈・主茎長は, メヒシバ・カヤツリグサでは75・84%の遮光条件により増加し, 93%遮光条件で抑制された. シロザ・オオイヌタデは75%遮光条件では対照区とあまり差がなく, 84%以上の遮光条件で抑制された. スベリヒユは75%の遮光条件でも抑制された.
2. 分枝・分げつ数は, 各草種とも遮光条件により抑制されたが, シロザは比較的減少が小さく, メヒシバとオオイヌタデは中間的で, スベリヒユとカヤツリグサは著しく抑制された. 各草種とも93%の遮光条件ではほとんど分枝・分げつが生じなかった.
3. 地上部乾物重は, 各草種とも遮光により減少したが, スベリヒユとカヤツリグサは84%遮光条件で対照区の10%以下になり, 最も減少が著しかった. オオイヌタデは中間的であり, メヒシバとシロザ, 陸稲は比較的減少が少なく, 84%の遮光条件では対照区の30%前後の乾物比を示した. 93%の遮光条件では各草種とも対照区の2%以下に抑制された.
4. 出穂・開花・種子落下始までの日数は概して遮光により遅延したが, メヒシバ・オオイヌタデは比較的影響が少なく, スベリヒユは播種直後からの遮光条件で, シロザ・カヤツリグサ・陸稲は各遮光条件で著しく遅延した. スベリヒユ・陸稲は93%遮光条件で全く登熟に達しなかった.
5. 以上の結果から, 雑草の生育が著しく抑制される遮光条件は, スベリヒユ・カヤツリグサで80%以上, オオイヌタデで80~90%, メヒシバ・シロザが90%以上と推定された.