抄録
ジャガイモ個体をphytomer (植物単位)の集積と考え, 個体における形態的規則性と塊茎収量との関係を明らかにしようとした。1. ジャガイモの植物単位は, 原則的に葉, 上位根, 節間, 下位根, 腋芽および節よりなり, これら諸器官の配列は規則的である。2. 花梗は主茎, 分枝を問わず茎端に着生する。しかしそれより1~2節下位から仮軸分枝が, またその1節下に単軸分枝が発生し, 両者が並行的に伸長する。単軸分枝は主茎基部数節からも発生伸長する。3. 地下主茎, 地上主茎, 仮軸分枝, 単軸分枝の植物単位構成数は, 生育が正常の場合それぞれほぼ一定であるが, 正常でなくなる場合不規則となる。4. 地上部の草姿は, 1) 主茎(第1花梗まで)各節の葉の長さ及び, 2) 見かけの主茎における仮軸分枝の生長程度であらわすことができ, 主茎の葉が長大であることが多収の基本的条件であり, 仮軸分枝の適度の伸長は, さらに収量を高める附加的条件である。